レギュF 起点作成型はらだいこテツノカイナ

ブーと申します。

本戦も終了し、自分の中で一段落ついたのでレギュレーションE~Fを通して使用していた”はらだいこテツノカイナ”の構築記事を執筆します。

補完枠は都度変更していましたが、レギュレーションFでは構築の軸となる3体は変更しませんでした。

どの形も使用していて納得感は高かったため、これまでに使用してきた補完枠は全て本記事に執筆しようと思います。

長い記事になりますが、よろしくお願いします。

 

本構築の主な戦績

第一回PJCS予選 最高レート1730台 最終宇宙

第二回PJCS予選 最高最終1740(167位繰り上げ通過)

ランクマッチS15 最終レート2006 44位

2024PJCS本戦 9-11落ち

 

構築経緯

レギュEで使用していたはらだいこカイナ構築を試運転したところ、まだやれることを確信したため環境にチューニングすることに決定。

※レギュEの構築記事はこちら

boo-poke.hatenablog.com

レギュEの構築経緯は簡潔にまとめると、猫トリルに偽装して太鼓トリルしたら最強じゃね?です。実際めっちゃ強かったです。

レギュレーション移行にあたってチューニングした内容

レギュE→Fではらだいこテツノカイナには逆風といえる環境の変動がありました。

僕が感じていたレギュE→Fでの変動は下記3点です。

①特殊ポケモンの割合増加

②チョッキテツノカイナの減少

③はらだいこカイナの割合増加

順に記載していきます。

 

①特殊ポケモンの割合増加

※バトルデータベース参照

S13使用率上位30位

 

S14使用率上位30位

S13→S14環境上位ポケモン(使用率30位以内抽出)の割合推移
※物理/特殊/サポは”一般的な型”で集計しています。
(物理技/特殊技/サポート技の中でどの技採用率が高いかを基準としています。)

トルネロス等、おいかぜや天候を始動するサポーターの採用割合が減少していることが分かります。

これはギミック要素のある構築(追い風や雨)が主流だったレギュEに比べ、

タケルライコやウガツホムラ等、高種族値でハイスペックなポケモンが増えたことで種族値スタンガオガエンの環境入りによるサイクル構築が台頭していると推察しました。

 

②チョッキテツノカイナの減少

③はらだいこカイナの割合増加

S13テツノカイナ詳細データ

S14テツノカイナ詳細データ


突撃チョッキ採用率が84.7%→61.4%に減少しており、はらだいこが採用率圏外から9.2%の9位に。

S13から日別では局所的に腹太鼓が採用率10位以内にランクインすることはありましたが、シーズンを通して腹太鼓が上位になっているのS14が初めてでした。

これはガオガエンの環境入りにより、威嚇耐性の無い物理ポケモンはダメージレースで不利になる点から、従来のチョッキ型の「ドレインパンチで場持ちを良くしながら相手にダメージを蓄積する」使い方が難しくなっていると推察しました。

 

①②③から腹太鼓テツノカイナの強みである

・物理環境で押し切られないテツノカイナの物理耐久

・初見殺し性能の高さ

・メジャーなポケモンのマイナーな型なので読まれづらい点

これらの要素が次第に無くなっていくことが予想されたので、展開をより安定させる必要がありました。

 

課題に対する回答

・展開の安定性向上

ギミックの展開を1ターンで一気にやろうとせず、

・トリルを展開するターン

・はらだいこを積むターン

2ターンに分けることを基本の立ち回りとすることで展開の安定性を高めようとしました。

そこで起点作成役として目に留まったのがガオガエンでした。

威嚇を撒きつつ、捨て台詞を特殊アタッカーに当てることで、実質的にクレセリア、テツノカイナの耐久を高めることができる点が優秀と考え実践したところ、驚くほど展開の安定性が向上しました。

こうして軸となる

表:ガオガエンクレセリア

裏:テツノカイナ+α

の基本選出が完成しました。

・起点作成による弊害

起点作成、はらだいこの展開で2ターン要してしまうことから、トリックルームのターンが切れてしまうことが多かったです。

しかし、トリルを基本2回展開することを意識して立ち回ることで、1回の展開で試合を終わらせなくとも勝ち試合を増やすことはできました。

2回目の展開には、トリックルームが終了するターンに相手のどのポケモンを並べられるかが非常に重要で、これをうまく逆算して試合展開を組み立てることで確実に2度目のトリックルームを展開できる盤面を作ります。

この点において”はらだいこテツノカイナ”は非常に優秀で、相手に「テツノカイナの処理を優先しなければいけない」「トリックルームのターンを枯らさなければいけない」という強力な圧力をかけられるため、常に自分優位の選択を取り続けられることが多いです。

例えば、相手にとって

トリックルームを枯らせばこちらを上から制圧できるポケモンA

がいたとします。

トリックルーム3ターン目にAを攻撃→まもるで防がれた場合、

トリックルーム最終ターンで控えの非重要リソースポケモンに交代

Aを死に出しで勝ち

という相手の勝ち筋が容易に想像できます。

こちらはAを死に出しさせなければ良いわけなので、あえて隣のポケモンのまもるに攻撃を当てたり、こちらがまもるを行うことで相手の行動のテンポをズラすことができ、うまく盤面をコントロールすることができました。

単体紹介

軸のポケモン

テツノカイナ(ドラゴン)@オボンのみ

ゆうかん H4A252D252

実数値 230-211-130-×-120-49(0)

技 はらだいこ みきり ドレインパンチ じしん

テラスタイプはモロバレル意識の草、耐性が優秀な炎,水,鋼あたりから選択かと思っています。

先述の通りトリックルームを2展開するうえで、上記いずれのタイプも”盤面に残してはいけないポケモン”が多すぎたため耐性が優秀なドラゴンテラスタルを好んで使っていました。

ハバタクカミをテラスタルでごまかせないので、初手のハバタクカミには優先してガオガエンの捨て台詞を当てることで数値受けできるようにしました。

また、ドレインパンチを透かしに裏からハバタクカミが出てきそうなときは地震で刈り取ることができるため、ハバタクカミのためにテラスタルを切ることをやめました。

それよりも、トリックルームが切れた盤面に残りがちなゴリランダー、ガオガエン、ウーラオス、化身ランドロス等に抜群を突かれない点でドラゴンテラスタルは優秀でした。

 

クレセリア(ほのお)@メンタルハーブ

のんき H252B164D92

実数値 227-×-166-95-152-94(19)

技 トリックルーム れいとうビーム サイドチェンジ みかづきのいのり

メインのトリル始動役です。

ラスタルによる耐性変更を加味すれば大体の集中攻撃を耐えてくれるアツイ奴です。

サイドチェンジ、みかづきのいのりがテツノカイナと非常に相性が良く、

・火傷等をはじめとした状態異常の回復

・テツノカイナ方向に集中したヘイトをサイドチェンジによりクレセリアで受ける

このムーブが非常に強力でした。

剣盾ではこれが連続で使用できたってマジですか?強すぎるって。

テツノカイナが選出できないときもクレセリアは大体選出していました。実はクレセリアが選出率100%でトップオブトップでした。

 

ガオガエン(ゴースト)@シュカのみ

ゆうかん H252A244B4D4

実数値 202-182-111-x-111-72(0)

技 すてゼリフ フレアドライブ はたきおとす ほえる

配分

耐久に全振りすると、まもるやガオガエン方向のちょうはつで、場に残ってしまった場合に置き物になってしまうため最低限相手に圧をかけられるようにHAベースにしました。

ほぼA特化のガオガエンはあまり多くないので舐めてくれる相手が多く、ガオガエンフレアドライブをしているだけで終わる試合もありました。

テラスタイプ

ほぼ切らないです。すいりゅうれんだ+ふういん等、ガオガエンを倒しながらトリックルームをふういんされてしまいそうなときには渋々切っていました。

採用理由の一つなのですてゼリフは確定として、相手に圧をかけるフレアドライブ、はたきおとすもほぼ確定でした。

はじめはねこだましを採用していましたが、リキキリンのふういんやモロバレルのきのこのほうしに対抗できるちょうはつを採用。

しかし、リキキリンにS負けすると意味がなくなってしまう点からSを極端に上げなければいけず、これではそもそものコンセプトである”下からすてゼリフでテツノカイナを安全に着地”ができなくなってしまいました。

そこでポケ撤を眺めながら発見したのがほえるでした。

ほえるは優先度マイナス6なのでトリックルームよりも早く動くことができ、ふういんを発動したポケモンを盤面から退場させられるのでトリックルームの展開が可能になります。

また、ガオガエン+ハバタクカミ(Sブースト)のような”ねこだまし+ちょうはつ”でクレセリアの動きを確実に止めてくるような相手にもちょうはつ役にほえることで妨害を阻止できます。

加えて、構築単位で重い積み構築に対しても、ほえるで相手の積みポケモンを流すことができます。

さらにさらにほえた後にクレセリアにほえることで、1/2の確率でテツノカイナを安全着地させることもできます。(この動きは一度しかやりませんでしたが。)

このように構築の番犬ならぬ”番猫”として活躍をしてくれました。間違いなく本構築のMVPです。

もちもの

攻撃を一発耐えて捨て台詞を撃ってほしいため、半減実が最も適していると思います。

構築単位で一貫している地面打点を意識したシュカのみが使いやすかったです。

イトケのみはすいりゅうれんだを一発目しか半減してくれなかったのでゴミ箱に捨てました。この世界からフードロスを無くしたい。

 

 

 

補完枠

ここからは補完枠として採用してきたポケモンです。本戦に使用したポケモンから紹介していきます。

※本戦採用 イエッサン♀(フェアリー)@防塵ゴーグル

のんき H252B244D12

実数値 177-×-127-115-127-81(0)

技 このゆびとまれ トリックルーム まもる マジカルシャイン

役割

先制技対策、モロバレル対策、グラスフィールドの上書きが主な役割です。

また、トリックルームが切れた後もこのゆびとまれで相手の攻撃を吸いながらテツノカイナを動かす勝ち筋も作り出すことができます。

テツノカイナ、クレセリアガオガエンに次いでこのポケモンもほぼ必須枠でした。

本戦では対トリックルーム構築でのイージーウィンを狙ってマジカルシャインの枠をふういんにしていましたが、1戦しか当たりませんでした。(しかも相手のオーガポンからちょうはつが飛んできて泣きながらわるあがきをさせました。)

ふういんも強いですが、当然ながらマジカルシャインの方が汎用性は高く、タスキ削り、パオジアン、ウーラオスへの打点となる地味に優秀な技でした。

まもるの採用に関してですが、テツノカイナのじしんから身を守るだけではなく、”このゆびとまれ”がアイデンティティであるイエッサン♀が持つことで非常に強力な技になると思っています。

「この盤面はイエッサン♀に攻撃を吸われるからイエッサン♀を集中してしまおう(イエッサン♀方向に攻撃)」

※個人的な見解ですが、テツノカイナ方向に”イエッサンに攻撃を吸われても良い技”を選択する方が正しいことが多いです

というような相手のミスを誘発することもできますし、

きのこのほうしをぼうじんゴーグルで無効にした後に相手の

モロバレル:いかりのこな

隣のアタッカー:イエッサンを攻撃

に合わせて

イエッサン♀:まもる

テツノカイナ:じしん

でプランを崩壊させることも可能になります。まもるが無いと立ち回りが窮屈になるため、テツノカイナにじしんを採用するならイエッサン♀のまもるは必須だと思っています。

※本戦採用 ハッサム(みず)@クリアチャーム

ゆうかん H252A252D4

実数値 177-200-120-×-101-76(0)

技 バレットパンチ むしくい ダブルウイング つるぎのまい

役割

本戦直前にコータス入りの晴れ古代活性構築に全く勝てなかったため、初手のハバタクカミを牽制する目的で採用しました。

結果として晴れ古代活性構築は一度も当たりませんでした。ことごとくメタが外れていますね。

ただ、ハバタクカミに強いのはもちろんのことつるぎのまいを積むことでテツノカイナが通せない時のサブアタッカーとして活躍してくれました。

テツノカイナが苦手とするフェアリーテラスタル、くさテラスタルに対する打点となってくれるので補完枠として優秀でした。

※本戦採用 ウーラオスいちげきのすがた(どく)@こだわりハチマキ

ゆうかん H92A252D164

実数値 187-200-120-x-101-92(2~3)

技 あんこくきょうだ ふいうち インファイト どくづき

配分

A特化して適当に耐久調整。

トリックルーム下の動きを想定しているため、最遅としました。(厳選ミスって個体値2~3でした。)

これにより無振りタケルライコまで下を取ることができます。

役割

悪ウーラオスは汎用的なサブアタッカーとして4枠目に出すことが多かったです。

テツノカイナが刈り取り切れなかったポケモンをスイープする役割です。相手の立ち回りが上手いと十分に負荷をかけられていない状態でウーラオスが出てきてしまい、

ウーラオスを活躍させなければいけない展開=結構ピンチ

になっていることが多かったため、ウーラオスは遂行速度を早くすることを意識してこだわりハチマキにしました。

相手に想定以上の火力を押し付けることができ、負けそうな展開から何度も助けてもらいました。

あんこくきょうだ+ドレインパンチつるぎのまい型も強かったですが、ハッサムの紹介でも記載した通りフェアリーテラスタルポケモンを刈り取らなければいけない展開も多いため、どくづきが必須なことを考えると見切りを捨てなければいけず、つるぎのまい型の強みである火力と守りの両立が難しく、ハチマキ型の方が最適と考えました。

テラスタイプ

襷による行動保障が無いため耐性変更をしつつ毒突きの火力を上げられる毒で採用。

特に鉄壁を積んでくるHヌメルゴンレジスチルに耐性を持てるのが良かったです。

 

 

ーーーーここからは本戦非採用ーーーー

 

ディンルー(フェアリー)@とつげきチョッキ

ゆうかん H252A140B116

実数値 262-162-160-×-100-45(0)

技 じわれ バークアウト ヘビーボンバー テラバースト

主に第1回PJCS予選で使用しました。

配分

最低限Bに厚いハバタクカミをワンパンしてほしかったため、勇敢A140振りとして残りをHBに振りました。

じわれ:2回以上押せるように立ち回りました。ディンルー自体の火力は出ないため、暇なときは積極的に押してディンルーの処理優先度を上げさせます。

バークアウト:メインで振る技です。特殊アタッカーの割合増加(特にアカツキガチグマの増加)から、バークアウト+三日月の祈りでほぼ試合が終わる展開が多々ありました。

※第一回PJCS予選あたりの話です。

ヘビーボンバー:ハバタクカミの処理速度を高めます。

テラバースト:悪ウーラオス、レジドラゴ等に打ちます

ブリザポス(みず)@クリアチャーム

ゆうかん H252A252D4

実数値 207-216-150-×-131-31(0)

技 つららおとし 10まんばりき ヘビーボンバー つるぎのまい

主にランクバトルS15、第2回PJCS予選で使用しました。

こおり、はがねの技範囲がテツノカイナのかくとう、じめんと相性が良く、テツノカイナが苦手とするひこうタイプ、フェアリータイプに対する打点となるのが優秀でした。

加えてS30族というトリックルームアタッカー激戦区であるS50族から一つ抜けたSラインなので、嘶いた時のトリックルーム下での制圧力が非常に高いです。

テツノカイナが通らないときのアタッカーとして非常に優秀でした。

イエッサン♂(エスパー)@きあいのタスキ

ひかえめ B4C252S252

実数値 135-×-76-172-115-147

技 マジカルシャイン ワイドフォース ふういん トリックルーム

トリックルーム構築で非常に強かったです。

やなぎさんがランクマッチで一時期よく使われていたイエッサン♂+ウーラオス(いちげきのすがた)に一度も勝てなかったので、トリックルーム対策としてパクらせていただきました。

トリックルームの性能は非常に高く、一方的にワイドフォース、あんこくきょうだでバシバシ殴ることができます。

また、この技構成でふういんをすると多くのブリムオンの攻撃技を剥奪することができます。

バチンウニ(みず)@きあいのタスキ

れいせい C252

実数値 108(0)-×-115-157-105-18(0)

技 あまごい おきみやげ だくりゅう いたみわけ

・トリル下でコータスよりも先に雨乞いができる点

エレキフィールドでテツノカイナをきのこのほうし、あくびから守りつつA実数値1097に強化できる点

・着地時に巻き込み地震でHPを1にし、いたみわけによりテツノカイナの確定ラインを引き上げられる点

・おきみやげにより自主退場をしつつ、2回目のトリックルームを安定させられる点

これらが優秀で本戦直前まで採用を検討していましたが、晴れ古代活性構築を重く見てハッサムと入れ替えました。

採用に足る優秀なポケモンだったと思います。

 

むすび

以上です。ここまでお読みいただきありがとうございました。

駆け足で執筆したため推敲はあまりできておりません。おかしな点や不明点があったらXにてご指摘、ご質問をいただけるとありがたいです。(https://twitter.com/poke_love_cIub)

本戦を抜けることができず悔しい思いをしましたが、はじめは初見殺しでしかなかった構築をここまで考察できたことは成長につながったと思っています。

来年に向けてレギュGでも頑張ります。